開発ストーリー『アシストスーツTASK』

住宅関連部材の会社が、体に装着する製品に挑戦!? 人に寄り添うアシストスーツ「TASK」

ダイドー初の試みで開発された「TASK AR」。作業現場や上向き姿勢が続く動作の負担を楽にするための、アシストスーツです。 これまで住宅関連部材などをメインに製作してきた会社が、人に装着するアシストスーツの開発に乗り出した背景には、どのようなストーリーがあったのでしょうか。
阪中 翔太 TASK設計担当。 高校時代の3年間山岳部に所属していた根っからの山好き。近場である金剛山を頻繁に登っている。山小屋のオリジナルTシャツを集めることも楽しみの一つ。2022年の夏は九州か北関東の100名山に登ろうか計画中。関西圏の方へオススメするなら「大和葛城山」。
近藤 尚也 TASK広報・渉外担当。 二児の父。毎日家族に夕飯を作る(※作らないと怒られる?)。学生時代よりフィリピンに縁があり、これまで12回渡航。なかでもダバオ市は、山・海・人がおだやかな町で、のんびりとできるのでお気に入り。ほかにもダイビングをするなど、活動的。

“助く”べき対象は「人間」だった!アメリカEkso社から得た気づき

「助ける」の古語『助く』と、仕事の『タスク』をかけ合わせたアシストスーツ「TASK」シリーズの開発が始まったのは、2017年のこと。 取引先である大手住宅メーカーの声を受け、『Arm Rising』が由来の「AR」を組み合わせた「TASK AR」が、シリーズ初めての商品開発となりました。 「天井の石膏ボード施工は、石膏ボードを押さえながらずっと上向き姿勢が大変で…」 そんなお悩みを受け、解決に乗り出したダイドー。 作られた試作第1号は、装具背面の中央筒から電動により4本の“手”が伸び、頭上のボードを4点を支える造り。なんだか少し妖怪のようなイメージです。 何事もはじめから大成功は難しいもの。実際に使ってもらったところ「不安定で使えない」という答えが返ってきました。 時を同じくして、社長はアメリカへ視察へ行っていたところ、偶然にもカリフォルニア州でリハビリロボットを作るEkso Bionics(エクソ・バイオニクス)社と出会います。 Ekso社もアシストスーツ「Ekso Vest」を作っていました。これを見てハッさせられた社長。「ものを支える」のではなく「本人を支え」ていたのです。しかも、電力を使わずに…!
帰国後まもなくして、Ekso社とライセンス契約のための交渉を開始。こちらの熱意が通じたのか、1年たたずして販売・改良・生産のライセンス権を獲得しました。Ekso社の製品の販売権を取得する方向もありましたが、欧米サイズだと大変大きなものになります。なので、電力を使わない「ガススプリング方式」「身体への装着」の基本設計の使用権に加えて、日本人に合わせたサイズへの改良権を取得することにしました。 勢いのある会社だけあって、契約時には資金面やマーケットについてなかなかシビアな質問もありましたが、こちらの説明にも納得してくださり、無事に双方納得のいく形で、ライセンス契約を締結することができました。(近藤) ここからTASK ARの本格的開発が進みます。

「アパレルってなに?」産みの苦しみから3年、利用者の声を拾い続ける今。

開発をするうえで最も苦労したタイミングは、「装着型」に舵を切り、はじめての試作を検討していたころですね。これまで社内設備製作における切削加工は経験があったものの、量産品として切削部品を加工し、製品に組み込むのは初めてでした。装具の世界に踏み込んだことも初めて。もちろん素材も取り扱ったことがなくて『アパレルって・・・何?』状態でした。ゼロベースからの立ち上げは大変だったことを覚えています。(阪中) 設計段階の先にも、まだまだ壁は立ちはだかります。組立ラインの立ち上げにあたっても、過去の当社製品とは異なり、より種類が多く、微細なパーツを組み合わせる作業であることから、新たな視点を持ちながら進めていかなければなりませんでした。 「Ekso Vest」をベースに、最初の試作からガラッと変わった初代製品版「TASK AR1.0」が出来たのは2019年2月のこと。住宅メーカーへ再度テストをお願いしたところ、好評でした。そのほか、自動車メーカー等多くの方から反響をいただきました。これは幸先の良いスタート。
翌年5月、「TASK AR1.0」を住宅建設現場でテストいただいた方々からの声をひとつずつ拾い上げ、「スリム化」と「装着感の向上」を目標に改善。 「TASK AR 2.0」が完成しました。 さらに翌年の5月。今度は農業系の現場から改善要望の声が届き始めます。 農業の現場となると、働く方に女性や高齢者が多くなります。且つ、持ち上げるものは軽めとなり、10kg以上の負荷がかかる作業に対応した「TASK AR2.0」ほどはパワーアシストを必要としない。今まで取り組んできた、建設現場や土木現場とは少し違ったフィールドとなります。そこで、アシストするパワーを落とし、その代わりに装具も薄くて軽い仕様を2021年5月に「3.0」としてリリースしました。また、翌2022年にはより装具を簡素化した「Type S」をリリースし、動きやすさの更なる改善を進めています。(阪中)

あらゆる現場で働く方にとっての「軽くて、違和感がない」を目指し、日々奮闘中!

様々な使用者様へお話を伺って分かったのは「軽くて、違和感がない着心地」というのが、どのような方にとっても第一条件であることでした。市場に様々なアシストスーツやパワースーツが販売される中、当社の製品が特別安価なわけではありません。しかし、違和感のない装着や、「自分の体の動き」に自然に寄り添うアシスト感においては定評をいただいています。 また、厳しい現場であることから採用が思うように進められない企業様、年齢を重ね肩への不安から仕事を続けられるか不安を持っておられた職人さんや農家さんの課題に合致し、喜んでいただいたケースも多くあります。 まだまだ、本格的な普及に課題もありますが、確実に喜んでいただける製品だと思いますので、この価値を伝えていきたいです。(近藤) 現在は、初作から数えて5回目のバージョンアップ版を開発中です。「2.0」「Type S」ともに、更なる装着の心地よさを追求していくことと、コストダウンが次の目標。 ご使用者様のお声をもとに、腕の支え方や、部品の素材、形状等、様々な視点を持ちながらこれからも改善は続いていきます。

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